9月2日に開催された自民党両院議員総会では、参院選敗北の原因を徹底的に分析した総括委員会の報告書が提示された。この報告書を契機に、総裁選挙管理委員会は次期党首選出に関する臨時総裁選の実施可否について党内での意志確認を進める見通しとなっている。
今回の参院選では、「日本人ファースト」を掲げる参政党が躍進を遂げた。一方で、自民党内では「リベラル化」が顕著に進展しており、これに対抗して保守回帰の旗手として注目される高市早苗前経済安全保障担当大臣の今後の動向に改めて関心が集まっている。
また、8月23日と24日に共同で実施された合同世論調査では、次期総裁にふさわしい政治家について質問が行われ、高市氏が7月の調査に引き続き23.0%の支持率で首位を維持した。しかし詳細な回答分析により、従来の傾向とは異なる新たなトレンドも浮かび上がってきている。
この世論の変化は、党内の精神的な乖離と交錯するリベラルと保守の対立を象徴している。自民党のリベラル派は柔軟な外交・内政を志向するのに対し、高市氏の保守派は国家の伝統的価値観回帰を強調し、党内に緊張感をもたらしている。
さらに、公明党も靖国神社参拝を巡る問題に敏感に反応しており、これが自民党の保守回帰路線を阻む一因となっている。これら複合的な要因が、自民党の次期政権構想を複雑化させている。
今後の臨時総裁選は、党の進路を左右する重要な試金石となるだろう。高市氏の保守的な主張が政権の中枢にどのように反映されるのか、党員間の勢力バランスが注視されている。