漫画家、東海林さだおさん(87歳)が約半世紀にわたり描き続けた「タンマ君」が28日発売の最新号をもって感動の最終回を迎えた。1968年1月1日号で連載が始まり、通算2632回という驚異的な長寿作品となった。この長期間にわたる連載は、多くの読者に愛され続けた証といえる。
「タンマ君」は、出世とは無縁の平凡なサラリーマンを主人公に据え、その周囲の同僚との和やかなやりとりをユーモラスに描いた作品である。日常の細やかな心理描写やリアルな職場の姿が読者の共感を呼び、長年にわたり幅広い層から支持を集めた。
週刊文春を代表する連載作として確固たる地位を築いてきた「タンマ君」。竹田聖編集長は今回の最終回に際し、「誌面を支え、盛り立ててくださった東海林さだお先生とタンマ君に心から感謝いたします」との言葉を寄せている。その言葉には長い歴史をともに歩んできたコミュニティへの敬意がにじみ出ている。
一方、東海林さんは「半世紀も続くとは想像していなかった。今がちょうど作品の終わり時だと感じている」と語り、自身の創作人生に一区切りをつけた。数々の名作を生み出してきたベテラン作家の真摯な思いが垣間見えるコメントである。
「タンマ君」は、単なる漫画作品を超え、社会の縮図を鋭くかつ温かく映し出す文化的財産として今後も語り継がれていくだろう。読者の心に深く根付いた主人公とともに、長きにわたる連載の歴史が静かに幕を閉じた。