ロシアによる侵略から3年半、ウクライナは自国の武器生産能力を著しく強化し、かつての情況とは一変している。かつてゼレンスキー大統領が「武器を、とにかく武器供与を」と国際社会に懇願していた時代は過去のものとなり、現在は自国産武器の生産によって長期的な戦力強化を目指している。
キーウ経済大学のオレナ・ビロウソワ研究員(32)が指摘するところによれば、2023年のウクライナの武器生産額は約30億ドル(約4400億円)であったが、2024年にはこの数値が約100億ドル(約1兆4700億円)にまで跳ね上がり、1年の間に3倍以上に急増した。この急激な伸びを支えるのは、無人航空機ドローンであり、その大部分が国産であることが戦場の主役としてのポジションを確立している。また、大砲類の生産量に関しては欧州諸国全体を凌駕するレベルにまで達している。
こうした急速な国産化の背後には、戦争の長期化による軍事支援の不確実性がある。特に米国においては、2023年10月から2024年4月にかけて、当時野党だった共和党がウクライナ支援予算案の通過を阻止し、軍事供給の停滞を招いたことでウクライナは深刻な弾薬不足に直面した。この政治的な揺らぎはウクライナの武器供給の安定性に不透明感を与え、国産化の必要性を一層押し上げる結果となった。
さらに2025年1月に発足したトランプ米政権(共和党支持)のロシア寄りの傾向も懸念材料となっている。これにより、米欧を中心とした民主主義国の資金力とウクライナの生産技術力をいかに融合させるかが、ウクライナの戦局を左右するだけでなく、戦後の国際安全保障における重要な焦点となっている。
こうしてウクライナは、国際社会の支援に依存し続けるのではなく、自律的な武器生産体制を確立することで厳しい戦況下でも持続可能な防衛力を築き上げているのだ。今後も技術と資金の融合が如何に進展するかが、戦争の帰趨を決定づけるだろう。